ドライバルク貨物の海上荷動き量は年間約52億トンにものぼり、その取引数量の多くは船舶の喫水検査で決定されています。
喫水検査はアルキメデスの浮力の原理を利用し、水上に浮かんでいる船舶という大きな器の喫水線上の喫水マークを目視で測読しますので、測読精度はその時の気象・海象などの作業環境に大きく左右されます。 つまり水上の波浪やうねりは時や場所により変化すること、また目視による測読には個人的にバラツキが生じること、さらに岸壁と水面との段差から生じる視差により喫水マークの測読値は変動します。 そのため、時や場所により喫水マークの測読値にバラツキが生じ、その結果、喫水検査数量の変動幅が大きくなります。
現在、現場で実施されている喫水マークの測読方法は次の通りです。
船舶には船首部/中央部/船尾部の左右それぞれに喫水マークが計6か所付されております。
通常、船舶は陸側の岸壁に接岸されますので、陸側については岸壁から船首/船尾/中央の喫水マーク3か所を測読します。一方、陸側の反対側(以下海側と称します)については中央の喫水マークのみを測読し、船首/船尾の海側の測読値は、それぞれの船幅に応じて左右の傾斜値を算出し、その傾斜値を陸側の測読値にプラスまたはマイナスして決定するのが一般的です。そして海側の中央喫水マークの測読の多くは、次の三つのいずれかの方法により行われています。
@ マノメーターによる方法
A ジャコブスラダーによる方法
B ドラフトボートによる方法
いずれの方法も喫水マークの測読時に冒頭で述べた様々な変動が生じます。それらの変動を改善しないかぎり、喫水マークの測読精度は向上されません。
つまり、喫水検査が実施される作業環境には様々な変動要因がありますので、それらを科学的でしかも合理的な方法により改善し、安定的に精度の高い測読値を得ることが必要です。 そのためには、喫水マーク測読の際に科学的でしかも合理的な方法を標準化する事が必要不可欠です。
喫水検査の利点は、水上に浮かんでいる船舶という大きな器の喫水マークを測読することにより大量の積載貨物の重量を短時間で算出することができること、またその時の気象・海象条件が良ければ非常に高い精度が得られることにあります。
しかしながら、現実の海上は風や波が常に変化しており、そのため喫水マークの測読値は時や場所により変動します。また、パーソナルエラーの違いや船舶の接岸状況から生じる視差の違いによっても測読値は変動します。
これらの様々な変動を小さくするために開発されたのがこの喫水検定器、KENDRAFTです。
KENDRAFTを使用することにより中央喫水マークの測読を科学的かつ合理的にすることができ、喫水検査の精度を向上させることができます。
KENDRAFTの原理は非常にシンプルです。
同じ大気圧のもとで、水面下約5メートルの深さからパイプ内に水を取り込みますと、そのパイプ内側の水面はパイプ外側の水面と同じ高さで止まります。 パイプ外側の水面は風や波の影響により水面が上下しますが、パイプ内側の水面は水深約5メートルの静止流体から水を取り込んでいますのでほとんど動きません。そして、パイプ内側に浮子を入れてやれば浮子は風や波の影響を受けない静止水面で止まり、その浮子が止まっているところの喫水マークをミラーで測読すれば正しい水面に対応する喫水マークの測読が可能となります。また、鏡の角度は45°に設定されていますので、浮子が位置するところの喫水マークを近距離から水平に鏡に写すことができます。
そして、鏡に写っている浮子が位置するところの喫水マークを測読すれば、視差のない正確な喫水マークを測読することができます。
KENDRAFTの大きなメリットは次の2点です。
@風や波の影響を受けない静止水面を検定器のパイプ内に作り出すことができる。
A人が水面から視差なく水平に喫水マークを見ているのと同じ状況を作り出すことができる。
KENDRAFTの明細につきましてはこちらをご覧ください。
積揚げ一貫検定を導入するメリットについてはこちらをご覧ください。
船舶輸送による物流の中で、中立・公平な立場から様々なマリン検査業務に対応いたします。